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橋本 一馬

-Hashimoto Kazuma

研究・開発
(テクニカルセンター)
2015年入社

自分のアイデアと工夫が製品となり、社会に貢献していく楽しさ

鉄道やバスの床面に貼られるフィルム。目立たない製品ではありますが、車いすの方や優先座席を必要とされる方にとっては大切な目印となります。住江織物の仕事は幅が広く企画段階から量産、お客さまのもとでの施工まで、一貫して担当することができます。
鉄道やバスという不特定多数の人々が乗降する場において必要とされる耐久性をクリアするために、試行錯誤を重ねた製品が世に出るまでの流れをすべて見られるのは、やりがいと楽しさを感じます。

現在の業務内容を教えていただけますか?

私が現在担当しているのは、鉄道車両内の案内に使われる床面表示フィルムの開発です。この開発段階においてフィルムの樹脂配合の検討評価はもちろん、お客さまのもとでの技術説明、試作手配や量産移行、現場での技術指導まで一連の製品化工程業務を任せられています。

床面表示フィルムには鉄道業界の定めるスペックがあり、当社にも当然それらをクリアした既存品があります。しかし、特に高い耐久性が必要な場所での使用に関するオファーがある場合や、車両の利用シーンを考えて車内で改善を図る場合も多く、そうした際は私たち開発が営業担当者とともに、新たな試作・製品化のためのプロジェクトを組んで動きます。

これまでに手がけた製品の中で特に思い入れのあるものは?

私が手がけた、重歩行環境での使用を想定した高耐久タイプの床面表示フィルム「PHフィルム」という製品です。東京の主要な路線を走る鉄道で使われるため、お客さまからは「通勤車両での使用に2年以上耐えられること」という今までにない厳しい条件が付けられました。実際首都圏の満員電車という環境は非常に過酷で、それまで以上の耐久と一口に言っても、めくれ、破れ、凹み、汚れなど乗り越えなければならない課題が数多くありました。

試行錯誤の期間は2年にわたりましたが、無事製品を採用いただくことができました。現在首都圏内1,600両の鉄道車両で私が手がけた「PHフィルム」が使用されており、導入から目標の2年をクリアし、現在に至るまで流出不良は0%で、さらにリピートの発注もいただくことができました。

これから開発に携わってみたい分野や製品はありますか?

私が直接お客さまや電車の乗客の方のご意見を聞くことは、まずありません。しかし、この不良率の低さ、なにより現在も毎日何事もなく製品が使い続けられていることこそが最大の賛辞だと捉えています。ただやはり、自分の手がけた製品が社会の役に立っているのを目の当たりにすると感慨深いものがありますし、直にお客さまの反応を見たいと思うこともあります。

私は大学時代、感性工学を専攻していました。これは人間の感性(感覚や感情など)の情報を科学的に捉え、価値としてモノづくりに生かすことを探求する学問です。ゆくゆくは、大学時代の学びを生かしてBtoBの分野だけでなく、BtoCに関する製品の開発に携わり、持つ人、使う人の「幸せ」を引き出すような仕事がしてみたいです。

ある日のスケジュール

村岡さんから見た橋本さん

橋本君とは鉄道向け床表示フィルムの開発時によく関わりますが、真摯かつ素直な人だと感じています。私の話にしっかりと耳を傾けつつ、自分の意見も発信できるバランスの取れた性格で、納期も厳しかった中、責任を持って開発に取り組む姿が印象的でした。私たち営業部にとっても既になくてはならない存在であり、今後もさらに大きな開発をしてくれると期待しています。