樹脂成型技術・難燃化技術

身近な場所で安心と安全を守る

繊維とプラスチックはどちらも人々の生活の近くにあり、触れる機会も多い素材です。人と環境にやさしい、安心で安全な製品を届けるために、ポリオレフィン樹脂を中心とした成型技術・難燃化技術を開発しています。

樹脂製床材の成形技術・難燃化技術を用い、薄くて強く、簡単に施工できる床表示フィルムを開発しました。電車内の車椅子やベビーカーの優先場所を表示するために使われています。引っ掛かりが少なくなるように、薄く強くした床表示フィルムは、摩耗や汚れに強いだけでなく、滑りにくく燃えにくい、安心で安全な製品です。乗客数が日本一のJR山手線での2年以上の実車試験の結果、製品化されました。

簡易施工型表示フィルム「PHフィルム」

汚れに強く、美観が長持ちするフィルム

PHフィルムは表面をフラットに加工することで、防汚性を高めています。

施工テスト(1週間)をしたあとのフィルム比較左:PHフィルム(フラットな表面仕上げ)右:未対策フィルム(表面仕上げなし)

表面の微細な形状をフラットにして汚れ付着を防止

摩耗に強く丈夫なフィルム

燃焼時でも燃えにくく、有毒ガスの発生が少ない

試験項目 航空機規格* PHフィルム
煙濃度(最大値) 200以下 67
発煙性ガス分析
[4分後](ppm)
HCN 150以下 1未満
CO 3,500以下 153
NO + NO2 100以下 28
SO2 100以下 検出されず
HCL 3,500以下 検出されず
HF 3,500以下 検出されず

加熱燃焼時の発煙濃度を試験したところ、PHフィルムは航空機規格*(ボーイング社規格)を下回っていることがわかりました。

滑りにくく安全な踏み心地

濡れた状態(水+ダスト条件)と乾燥した状態(清掃条件)での滑り抵抗値の差が小さいPHフィルムの方が、汎用PVCフィルムよりも歩行感が常に変わらず、歩きやすくなっています。

特長・性能

  • 床表示として見やすく、美観が長持ちする
  • 強い素材なので、剥がれにくく、耐久性に優れる
  • 揺れる車内でも滑りにくい安心な踏み心地
  • 万一の火災でも燃えにくく、有毒ガスが少ない

受賞

2018年度
一般社団法人大阪工研協会 第68回工業技術賞 受賞「PHフィルム」